SEOにおける「エンティティ」とは結局何のこと?AIやGoogleに選ばれるための超重要な概念
AI検索時代に入り、これまでのSEOの常識は大きく変わりました。特に「検索順位は高い、落ちていないのに、サイトへの流入やコンバージョン(成約)が大きく減ってしまった」と悩むWeb担当者は多いです。
この要因の1つにAIや検索エンジンがこれまでの単語としての「文字列」だけではなく、実体としての「概念=エンティティ」をより重視するようになったことが挙げられます。
この記事ではいまいちよくわかりにくい「エンティティ」について、基本概念から、AI検索時代に求められる具体的な対策まで解説します。
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SEOにおける「エンティティ(Entity)」とは?
エンティティ(Entity)とは、「単一で、ユニークで、明確に定義され、区別可能なモノや概念」のことを指します。
これだけでは「?」となると思うので、もう少し噛み砕いて説明すると、エンティティとは「これは誰?何?」が一瞬で分かる「名札付きの存在」のことです。
例えばあなたの会社の同僚に「山田太郎さん」「佐藤花子さん」がいるとすると、山田太郎さん、佐藤花子さんという人そのものがエンティティです。そして山田太郎さんの名前や年齢、所属部署、肩書などの情報は山田太郎さんにひもづく情報です。
もし会社に同姓同名の山田太郎さんが2人いる場合、「総務課長の山田太郎さん」「開発リーダーの山田太郎さん」というように区別するための情報を足すと思います。これが「エンティティとして認識されている状態」です。

AIやGoogleなどの検索エンジンも同じで「アップル」という名前、キーワードだけでは果物のりんごのことなのか、会社の「Apple」のことなのかわかりませんが、「アメリカのIT企業」「iPhoneを作っている」といった情報がセットになることで「アメリカのApple社のこと」と一瞬で理解できます。
要するにエンティティとは名前と説明・特徴がセットになった、はっきり正体がわかる存在のことです。
【エンティティの例】
- 人:サッカーの本田圭佑選手
- 場所:高さ634mの東京スカイツリー
- 企業・サービス:不用品販売アプリのメルカリ
- 製品:ゲーム機のニンテンドースイッチ
- 抽象的な概念:検索順位を上げる施策のSEO
Googleが考えるキーワード(文字列)とエンティティ(実体)の違い
Googleは2012年に「Things, not Strings(文字列ではなく実体を)」というスローガンを掲げました。
かつてのGoogleは、単語をただの「文字の羅列(文字列)」としか認識していませんでした。しかし今のGoogleは「人間と同じように世界を理解すること」を目指して、膨大なデータベース(ナレッジグラフ)を使って「実体」「属性」「関係」を紐づけています。
その紐づけによってコンテンツの評価も「キーワードの出現回数」から「情報の信頼性と網羅性」へと変わりました。
| 以前のSEO (文字列重視) | 現在のSEO (実体重視) |
|---|---|
| 「SEO 対策」という言葉を記事内に何度も入れる | 「SEO」に関連する概念・情報(Googleアルゴリズム、コンテンツ制作、ドメイン……)を網羅する |
| キーワード(文字列)が一致していれば評価される | 「誰が言っているか」という発信者(実体)の信頼性が重視される |
| 辞書的な説明だけで順位が付く | そのトピックについて専門的な知見(実体としての深み)があるかが問われる |
Googleは「その記事が何について書かれているか」だけでなく、「その会社や著者は何者か(実体)」まで見るようになったのです。
エンティティがSEOで再注目されるようになった理由
上記のとおり、エンティティという概念自体は2012年頃からありましたが、なぜ、今になって再び注目されるようになったのでしょうか。
E-E-A-Tを示すため
2020年頃からGoogleがコンテンツの品質を評価する基準としてE-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)を強化しました。結果、「誰が(どのエンティティが)発信しているか」という発信者の信頼性がコンテンツ評価(=検索順位)に直結するようになりました。
- Experience(経験)※: そのトピックに関する実体験があるか
- Expertise(専門性): その分野における高い知識やスキルを持っているか
- Authoritativeness(権威性): その分野の第一人者として広く認識されているか
- Trustworthiness(信頼性): 情報が正確で信頼できるか
※ 厳密にはExperience(経験)は2022年に追加。それまでは「E-A-T」だった。
GoogleはE-E-A-Tを正しく評価するために対象に紐づいた情報を参考にします。誰が書いたかわからない記事より、その分野に精通した専門家が書いた記事の方が情報としての信頼性、価値が高いのは誰の目から見ても明らかです。
Googleがコンテンツの評価にE-E-A-Tを強く反映させるようになったことは、エンティティの重要性が再認識されるきっかけになりました。
関連記事:【AI時代】SEOの将来性は?今でも重要な理由とメリット・デメリット
AI検索・AI Overviewsに対応するため
さらに2024、2025年頃からエンティティが一段と熱く語られるようになった理由にAI検索(ChatGPTなどのLLM、AI Overviews(AIによる概要・Google)、AIモード(Google)が本格的に導入されたことが挙げられます。
AI検索によってユーザーは自分に最適化された情報をより早く、簡単に手に入れることができるようになりました。一方でサイト側はユーザーが流入する前に検索行為を終えてしまう「ゼロクリック検索」によって、大きく流入数を減らしています。
そこでAI検索時代でも一定の流入を確保するためには、AIや検索エンジンにいかに自社サイトの情報を参照してもらい、また、自社や自社サービスのことを推薦してもらうかが重要だと言われるようになりました。
AIや検索エンジンに自社サイトを参照してもらえれば「引用元」としてサイトへのリンクが表示されます。

また例えば「東京のおすすめのSEO会社は?」という質問で自社がAIによって推薦されれば、サイトへの流入数が減ったとしても、本気度の高い重要な顧客を集客できます。
そしてAIや検索エンジンが回答を作成する際に参考にしているのが「誰が言っているのか」といった発信者のエンティティであり、先述のE-E-A-Tや評判・言及を重要な判断指標にしています。
逆に言えばAIや検索エンジンに正しく実体を認識してもらえなければ、Web上では「存在しない人・会社」という扱いになり、これからのWebマーケティングでは死活問題です。
こうした背景もあり、エンティティという概念が改めて注目されるようになりました。
Googleがエンティティを理解する仕組み
GoogleはどのようにしてWeb上の膨大なデータ(ウェブページのテキストなど)からエンティティを特定し、それらの関係性を整理しているのでしょうか。この仕組みを簡単に理解しておくことは、後述するエンティティを整える対策でも参考になります。
Googleは以下のステップでエンティティを認識していると推測されます。
- 既存情報との照合
テキストをスキャンし、Googleが既に持っている既知のエンティティリスト(人名、地名、企業名など)と一致する単語やフレーズを照合する - 新しいエンティティの特定
リストにない未知のエンティティを特定します。テキスト内の言語的なパターン(例:「苗字+名前」「肩書+氏名」)などから、新しいエンティティ候補を抽出する - 曖昧性の解消
一つの言葉が複数の意味を持つ場合(例:「Apple」が果物か企業か)、その周辺情報や文脈を参照して意味を特定する - エンティティタイプの特定
識別したエンティティを「人物」「場所」「組織」といった、あらかじめ定義されたタイプに分類する。これによって情報の構造化がさらに進み、精度の高い検索結果を提供する
このようにGoogleはまずは既存の情報と照合し、新しい情報の場合は意味を特定してタイプを分類し、新たにエンティティリストに加えていると思われます。
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エンティティを意識したSEO・Webマーケ戦略
ここからは自社やサービスを信頼されるエンティティとして認識させるためにできる施策を紹介します。
1. 構造化データ(Schema.org)の正確な実装
構造化データによって検索エンジンにエンティティ情報を直接的かつ正確に伝えられます。人間が見るページデザインを崩すことなく、コード内に「これは組織情報です」「これは製品情報です」といったメタデータを埋め込みます。
最低限、以下のスキーマを実装することをおすすめします。
- Organization / LocalBusiness
会社や店舗の公式情報(名称、住所、電話番号、ロゴなど) - Person
記事の著者や監修者の専門性や経歴、SNSアカウントなど - Article
記事の著者、公開日、更新日といった情報
2. Googleビジネスプロフィールの正確な登録と充実
実店舗やオフィスの場所、電話番号、営業時間といった情報は、その企業が実在することを示す最も強力な証拠になります。
GoogleビジネスプロフィールはMEO対策としてすでに対応している企業も多いと思いますが、改めて情報が正確に登録されているか確認します。情報は標記の揺れをなくし、Web上のすべての情報で統一することが重要です。
関連記事:小規模でも勝てる!MEOを始めるメリット・効果と自分でできる7つの対策
3. サイト構造をエンティティ中心に設計する(トピッククラスターモデル)
サイト(自社)の専門性をGoogleに示すために、サイト構造をトピッククラスターモデルで構築することは有効な方法の1つです。
トピッククラスターモデルとは中心となるエンティティを網羅的に解説する「ピラーページ」をつくり、そこから関連する個別のトピックを深掘りする「クラスターページ」へ内部リンクを張ります。

この構造によって、サイト全体が特定のテーマについて体系的に整理されていることが検索エンジンに伝わり「このサイトは◯◯分野の専門家だ」と認識されやすくなります。
4. コンテンツ内でできる対策
少しテクニカルな内容になりますが、AIや検索エンジンにエンティティを正確に理解させるために、以下のような記述が有効です。
- 初出の位置
エンティティ(会社名、サービス名、専門分野などそのページで伝えたいこと)を記事のできるだけ早い段階で言及する - 見出し
見出し(hタグ)にエンティティを含める - 言及
固有名詞だけでなく「そのサービス」「それ」といった代名詞もエンティティへの言及として認識される。必ずしも固有名詞を繰り返す必要はなく、自然な文章の中で言及する - 他のエンティティ
ページ内で言及される他のエンティティ(関連情報)との関係性や近接性も評価される。主要なエンティティに関連情報を適切に組み込む
5. 外部サイトからのサイテーション・被リンク獲得
自社サイト内での取り組みだけでなく、第三者の信頼できるサイトからの言及や被リンクもエンティティの権威性を強化する上で重要です。これは従来のSEO対策にも通じます。
- サイテーション(言及)
リンクがなくても、社名やブランド名が言及されるだけで、エンティティの認知度と信頼性は向上する - 被リンク
関連性の高い権威あるサイトからの被リンクは強力な評価シグナルになる
具体的には業界メディアへの掲載や専門家としての寄稿、プレスリリースの配信、Googleビジネスプロフィールでの口コミ獲得などが挙げられます。
関連記事:サイテーションとは?Web上の存在感ゼロから始める言及獲得方法。LLMO・SEO・MEOへの効果も
6. WikipediaやWikidata、公共データベースへの登録・言及
Googleは情報の正しさを検証するために、WikipediaやWikidataなどの「中立的な大規模データベース」も参考にしているとされています。
Wikipediaへの掲載や、より技術的なデータ基盤である「Wikidata」への登録、公的な機関(役所や業界公認の年鑑など)のリストに掲載されることで、Googleの「ナレッジグラフ(知識のネットワーク)」を強化し、世の中の実体として認められやすくなります。
※ ただしWikipediaは広告目的の記述は禁止されています。自分の会社やクライアントの記事を自分で作成・編集することは厳しく対処されます。
Wikipediaに「書かれる存在」を目指すことが本来のあり方です。
そもそもこれらのエンティティ対策は「エンティティを正しく認識させる」ことだけが目的ではなく、その先の「AIに推薦される」「Web上で露出を増やす」ことを目的に行われます。
つまりエンティティ対策とAI検索対策や従来のSEO対策は内容が重複していることもあります。エンティティの重要性を理解したあとは、以下の記事も参考にしながらエンティティの整備を進めてみてください。
関連記事:AI Overviews(AIオーバービュー)とは?SEOへの影響と対策を解説
関連記事:GoogleのAIモードとは?SEOに影響大?自社でできる対策を解説
関連記事:AI検索対策(LLMO/GEO/AIO)の考え方とやり方。SEOへの影響や違いは?
エンティティ対策の測定指標
上記のエンティティ対策を進める上で、自社や特定のキーワードがGoogleにエンティティとして正しく認識されているかを把握する必要があります。以下ではエンティティ対策の効果を確認するための3つの方法を紹介します。
ナレッジパネルの表示有無
ナレッジパネル はGoogleの膨大なデータベース(ナレッジグラフ)の情報を基に、検索結果画面に表示される情報ボックスです。

企業名や著名人を検索したときに画面の右側(PC)や上部(モバイル)に表示される概要情報で、ナレッジパネルが表示されること自体が、Googleがその対象をエンティティとして明確に認識し、情報を整理できていることを示します。
Googleトレンドの「トピック」判定
Googleトレンドで自社名やサービス名を検索すると、検索候補に、単なる「検索キーワード」だけでなく、特定のカテゴリ(例:「会社」「野球選手」)が付随する「トピック」が表示されることがあります。

これが表示される場合、Googleはそのキーワードを単なる文字列ではなく、特定の意味を持つエンティティとして認識していると言えます。
Google画像検索・「関連する質問」で関連性チェック
自社名などで画像検索を行った際に、関連性の高い画像が正確に、かつ多く表示されるかを確認します。関連する画像が多いほど、Googleがそのエンティティをテキスト情報だけでなく、視覚情報とも正しく結びつけて理解していると言えます。
また検索結果の下部に表示される「関連する質問」に、意図した通りの関連キーワードが表示されるかも、エンティティの文脈が正しく理解されているかを知る手がかりとなります。
「株式会社モダナイズ」の検索結果の「関連する質問」として「東京でおすすめのSEO会社はどこですか?」と表示される
こうした確認方法で、自社のエンティティ確立に向けた進捗を測ることができます。
まとめ
この記事ではエンティティという概念を説明することで、現在のWeb検索が単なるキーワードの一致ではなくエンティティ(モノ・コト)とその関係性を理解するように進化していることをお伝えしました。
エンティティが重視される現代のSEOは「良質なキーワードを含めてコンテンツを作ること」に加えて、「誰がその情報を発信しているのか」を検索エンジンとユーザーの両方に明確に伝えることが重要です。
自社や記事の著者が、Googleから特定の分野で信頼される『エンティティ』として認識されるまでには、相応の時間が必要です。
- 構造化データの実装
- Googleビジネスプロフィールの正確な登録
- トピッククラスターモデルの設計
- 外部サイトからの言及獲得
など、地道で長期的な対策が求められます。
しかし、このエンティティという土台を強固に築くことこそが、アルゴリズムの変動に左右されない安定した評価を獲得し、AI OverviewsやAIモードのような生成AIの回答で信頼できる引用元として選ばれるための、最も確実な鍵になります。
また一連のエンティティ対策はWebマーケにとどまらず、自社のビジネスの基盤にもなる施策ですので、決して無駄な投資にはならないはずです。
※ Web集客に 補助金を活用できることがあります。