【3大媒体】Google広告 / Yahoo!広告 / Microsoft広告の比較。強みや選び方を解説
Web広告と言えば「Google広告」というイメージが強いかもしれませんが、国内の配信に特化した「Yahoo!広告」や、2022年に日本でサービスを開始して確実に利用者を増やしている「Microsoft広告」もあります。
この記事では3種のWeb広告の概要とメリット、デメリットを紹介し、また、後半では項目ごとの比較を行います。
それぞれの広告の特徴と強みを理解することで、自社のWeb戦略の手札を増やすことができます。ぜひ、参考にしてください。
「Google」「Yahoo!」「Microsoft」広告について
この記事では国内の主要なWeb広告媒体である「Google広告」「Yahoo!広告」「Microsoft広告」の3サービスを比較します(Meta広告などのSNS広告は、今回は取り上げません)。
Google広告 | Yahoo!広告 | Microsoft (Bing)広告 | |
---|---|---|---|
国内サービス開始年 | 2002年 | 1990年代 | 2022年 |
検索エンジン国内シェア (デスクトップ) | 73.61% | 6.47% | 17.84% |
検索エンジン国内シェア (モバイル) | 84.95% | 12.11% | 1.07% |
参照:Mobile Search Engine Market Share Japan | Statcounter Global Stats
国内ではGoogle、Yahoo!が90年代から00年代初頭にかけてWeb広告の配信を始めました。長らく2大広告の時期が続きましたが、2022年にMicrosoft(Being)がサービスを開始しました。
Googleが国内、世界ともに検索エンジンでは圧倒的なシェアを誇っています。近年ではBingがWindowsパソコンにプリインストールされるようになったこともあり、シェアを伸ばしています。ただしモバイル環境では依然としてGoogle1強の状況が続いています。
以下ではまず、Google広告、Yahoo!広告、Microsoft広告それぞれの概要とメリット・デメリットを確認していきます。
Google広告の概要・メリット・デメリット

出典:Google 広告
国内では2002年にリスティング広告(検索連動型)でサービスを開始したGoogle広告。多くの企業で真っ先に候補として挙がる、名実ともにNo.1の広告媒体です。
メリット1. 圧倒的な市場シェアと広範なリーチ
冒頭でお伝えしたとおり、Googleは日本を含む多くの国で圧倒的な検索エンジンのシェアを誇ります。他のサービスの追随を許さない豊富な検索クエリ(検索キーワード)のデータを活用して、より広く、より狙った相手に正確に広告を届けられます。
メリット2. 多様なサービスとの連携

出典:Android
Googleは検索エンジンだけでなく、YouTube、Gmail、Googleマップ、Google Discoverなどのサービスを提供しており、これらのプラットフォームにもユーザーの行動や興味に基づいた広告を配信できます。
またスマホ・携帯電話所有者の60%以上が作成していると言われるGoogleアカウントを通じてユーザーの情報を蓄積することで、デバイスやサービスを横断して、シームレスな広告を提供します。
メリット3. 最先端の広告技術とAIの活用
Google広告には「品質スコア」という独自の広告評価システムがあり、入札額だけでなく、広告の品質や関連性なども考慮した上で、ユーザーに価値のある広告が表示されます。
昨今では強力なAI技術を活用した広告の自動最適化機能も提供され始めました。例えば「P-MAXキャンペーン」では、機械学習を活用して入札、予算管理、オーディエンスの設定などを自動化し、Google広告のすべての広告枠に一括で配信できます。
デメリット1. 競争の加熱とコストの高騰
Google広告は最も人気のあるWeb広告の1つであり、広告主の入札競争は激しさを増しています。特に競争が激しいキーワードや業界の場合、クリック単価(CPC)が高騰したり、広告を上位表示させ続けるために予算を積み増さなければならないこともあります。競争が加熱すると、特に小規模ビジネスのオーナーの参入障壁が高くなります。
デメリット2. 多機能が故の複雑さ
Google広告は配信面(広告の種類)やターゲティングの設定など、できることが多く、初めて利用する際は難しいと感じる人がほとんどでしょう。効果を出すためには専門的な知識が必要で、また、頻繁に機能のリニューアルやアルゴリズムの変更があり、絶えず学習を続ける必要があります。
デメリット3. プライバシー問題への懸念
広範なデータを収集して広告の配信に活用しているGoogleは、昨今のプライバシー問題に大きな影響を受ける可能性があります。
広告主に対しては正確なターゲティング機能を提供する必要がある一方で、ユーザーのプライバシーへの配慮も重要であり、難しいバランス調整を求められています。今後の動向次第では、広告効果が低下する可能性もあります。
関連:初心者でもわかる「Google広告とは?」仕組みやメリットを解説
Yahoo!広告の概要・メリット・デメリット

出典:【公式】Yahoo!広告(ヤフー広告)
1996年に国内でいち早くバナー広告の提供を始めたYahoo! JAPANは、Web広告の老舗とも言える存在です。
2020年にそれまで提供していた広告サービス(「スポンサードサーチ」「Yahoo!ディスプレイアドネットワーク(YDN)」「Yahoo!プレミアム広告」)を統合して、「Yahoo!広告」と名称変更しています。
メリット1. 日本市場に特化したリーチ
Yahoo!広告は日本国内への配信に特化しています。検索エンジンのシェアはGoogleと大きく差を開けられているものの、Yahoo!JAPANの月間アクティブユーザーは約8,500万人と言われ、インターネットユーザーの8割以上が利用しています。
メリット2. Yahoo! JAPANサービスの強み

出典:Yahoo! JAPAN
Yahoo!広告はYahoo! JAPANのトップページをはじめ、Yahoo!ニュース、Yahoo!天気、Yahoo!知恵袋、Yahoo!ファイナンスなど、日本人の多くが利用する信頼性の高いサービスに配信できます。またYahoo! JAPANが提携するパートナーサイトにも広告を露出できます。
また2023年10月にはLINEと合併したことにより、今後はLINEユーザーのデータも活用した精度の高い広告配信が期待されています。
メリット3. コスパのバランス感
Google広告よりも競争が激しくないため、比較的クリック単価を抑えられることが多いです。状況にもよりますが、ざっくりGoogle広告の半額ほどの費用で同程度の内容を訴求できることもあります。
デメリット1. 審査の厳格さ
Yahoo!広告には消費者や広告主の保護の観点から厳しいガイドラインが制定されています。そのためGoogle広告よりも入稿審査が厳しいと言われることがあります。Yahoo!自身も24時間365日、「システム」と「人の目」によって厳格な審査を行っていることを公表しています。
デメリット2. ターゲティング精度・表示回数の差
Google広告よりもターゲティング精度が物足りない、という声があります。例えばリスティング広告(検索広告)ではGoogleでは設定できるユーザーの年齢、性別、世帯年収などの細かな条件を指定できません。
またGoogleとは検索エンジンのシェアで大きな隔たりがあるため、例えばYahoo!サービスをほとんど使用しないユーザーへの広告の表示機会は大きく減ります。
Microsoft広告の概要・メリット・デメリット

出典:Microsoft 広告
国内で2022年にサービス開始した、後発ながらいま注目されているのがMicrosoft広告です。利用者がまだ少ないこともあり、競争が激しくなく「穴場」的なWeb広告サービスです。
メリット1. B to Bに強み
依然として世界的に多くの企業がMicrosoft社製のWindowsやOfficeツールを使用しています。2023年12月時点で、デスクトップのOSシェアはWindowsが72.79%で、次点のMacの15.39%と大きく差を広げています。
Windowsには検索エンジン「Bing」を使用するブラウザ「Edge」がはじめからインストールされています。そのため企業では何も考えずにEdge(Bing)が使われることが多々あり、「Bing」に広告を掲載できるMicrosoft広告に目を付けるto B企業が増えています。
またMicrosoft広告のユニークな特徴として、LinkedIn(ビジネス特化型のSNSサイト)のデータを活用して会社名や業界、職種を指定してターゲティングできる機能が提供されています。例えば企業の購買担当者や、決裁権者に直接、広告を表示できます。
メリット2. 競争率の低さ
国内では2022年にサービスが始まったばかりであり、Google広告やYahoo!広告よりも競争が少なめです。そのため広告費用(クリック単価)も低く抑えられることがほとんどで、Google広告の1/5程度の費用で同程度のクリック数を獲得できる可能性もあります。
メリット3. ソフトウェア企業・後発による強み

Microsoft広告はソフトウェア企業としての強みもあります。例えば自社製品のOutlookやMicrosoft 365などでユーザーの情報を取得し、広告配信のターゲティングで活用することが期待されています。
またGoogle広告やMeta広告などの他社の設定情報をインポートできる機能など、後発企業としての強みもあります。
デメリット1. 配信量の少なさ
デスクトップにおけるBingユーザーのシェアは伸びているとは言え、Google広告などと比べると、まだまだ広告を掲載できる面が少なく、配信ボリュームを増やしにくいです。特にスマホユーザーのBing利用率は1.07%で、Google(84.95%)やYahoo!(12.11%)と大きく差をつけられている状況です。
デメリット2. 機能やサポート体制の弱さ
Google広告やYahoo!広告より機能やサポート体制が不十分であることは否めません。また歴史が浅いこともあり、過去のデータが十分に蓄積されていないこと、利用者が少なくWeb上の情報が少ない、といったデメリットもあります。
Google広告 / Yahoo!広告 / Being広告の比較
ここまでの3社の広告の特徴も踏まえた上で、それぞれの項目ごとに比較していきます。
検索エンジンのシェア
Google広告 | Yahoo!広告 | Microsoft (Bing)広告 | |
---|---|---|---|
国内サービス開始 | 2002年 | 1990年代 | 2022年 |
検索エンジン国内シェア (デスクトップ) | 73.61% | 6.47% | 17.84% |
検索エンジン国内シェア (モバイル) | 84.95% | 12.11% | 1.07% |
利用者の傾向 | ・全年齢・若年から | ・比較的高齢 | ・ビジネス・高所得層 |
参照:Mobile Search Engine Market Share Japan | Statcounter Global Stats
冒頭でお伝えしたとおり、2024年11月時点での国内のブラウザシェアはGoogleがデスクトップ、モバイルともに他を引き離しています。
Bingはデスクトップのシェアを淡々と伸ばしており、すでにYahoo!を超えています。ただしモバイルではYahoo!に一日の長があります。
広告の種類・配信面
Google広告 | Yahoo!広告 | Microsoft (Bing)広告 | |
---|---|---|---|
リスティング広告 (検索連動型) | ◯ | ◯ | ◯ |
ディスプレイ広告 | ◯ | ◯ | ◯ |
動画広告 | ◯ | ◯ | ◯ |
ショッピング広告 | ◯ | ◯ | ◯ |
P-MAXキャンペーン (自動最適化) | ◯ | ー | ◯ |
独自の配信面 | ・Google検索画面・Gmail、YouTubeなど関連サービス | ・Yahoo!検索画面・Yahoo!ファイナンス、Yahoo!天気などの関連サービス・提携サイト | ・Bing検索画面・msn・Outlookなどの自社製品・サービス |
3社は主要な広告形式に対応しています。各社の関連サービスなど、独自の配信面に違いが見られます。
費用
Google広告 | Yahoo!広告 | Microsoft (Bing)広告 | |
---|---|---|---|
課金形態(クリック課金) | ◯ | ◯ | ◯ |
課金形態(インプレッション課金) | ◯ | ◯ | ◯ |
費用感 | 1 | 1/2 | 1/5 |
課金形態は広告の種類によって選べるものが変わります。
費用については競合や業界・商材によって大きく異なり、一概には言えません。その前提ではありますが、Googleの広告費を1としたとき、Yahoo!はその半額程度で、Microsoft広告は1/5程度の費用で同じくらいのクリックを集められることもあります。
ターゲティング機能
Google広告 | Yahoo!広告 | Microsoft (Bing)広告 | |
---|---|---|---|
基本属性(地域、年齢、性別、端末の種類 など) | ◯ | ◯ | ◯ |
興味、関心、習慣 | ◯ | ◯ | ◯ |
ライフイベント (結婚、就職など) | ◯ | ◯ | ー |
購買意向強 | ◯ | ◯ | ◯ |
リターゲティング | ◯ | ◯ | ◯ |
類似ユーザー | ◯ | ◯ | ◯ |
配信先の指定 | ◯ | ◯ | △(カテゴリ指定は可能) |
曜日・時間帯 | ◯ | ◯ | ◯ |
ターゲティング機能については、各媒体とも名称が同じでもできることが異なったり、広告の種類によって指定できるもの / できないものがあります。
近年はYahoo!広告のターゲティング機能が充実しておきており、Google広告とも大差ない水準に近づいています。
まとめ|Web広告3社の選び方
この記事では主要なWeb広告媒体の3社「Google広告」「Yahoo!広告」「Microsoft広告」の特徴を紹介し、比較しました。最後にそれぞれの広告の強みと、どんな広告主に向いているのかまとめておきましょう。
【Google広告】
- 圧倒的な検索エンジンのシェア(モバイルでは8割以上)で、YouTube、Gmailなどの多様なサービスに配信でき、リーチ力が高く、ターゲティングの精度も高い
- P-MAXキャンペーンなど、最新のテクノロジーを使った広告配信でWeb広告界のトレンドを作り続けている
- 広告主が多く、入札競争が激しいため、広告費用(クリック単価)が高騰することがある。今回の3社の中ではもっともクリック単価が高くなる傾向にある
圧倒的なリーチ力、配信ボリュームを確保でき、基本的にすべての広告主におすすめ。初めてWeb広告を試してみるとき、ある程度広告予算があるとき、精度の高いターゲティングで確実に成果を出したいときなどにおすすめ |
【Yahoo!広告】
- 日本市場への広告配信に特化。インターネットユーザーの8割以上が利用するYahoo! JAPAN のサービス(Yahoo!ニュース、Yahoo!天気、Yahoo!ファイナンスなど)や提携しているサイトに広く配信可能。今後はLINEとの連携にも注目
- Google広告よりも競争が緩やかな傾向にあり、Google広告の約半分の費用で同等のクリック数を獲得できることもある
- Google広告と比べて出稿の際の審査が厳しい傾向にある
国内ユーザーに訴求したいとき、過去にGoogle広告を使い単価が高騰して思うような成果が出せなかったとき、さらにWeb広告の効率を高めたいときなどにおすすめ |
【Microsoft広告】
- 日本のデスクトップパソコンのOSの7割以上で使用されているMicrosoftの標準ブラウザ「Edge(検索エンジン「Bing」)」に広告を配信でき、主に to B事業を行う企業に注目され始めている
- LinkedInのデータを使い、企業名、業界、職種を条件にターゲティングできるユニークな機能がある
- 後発の強みとして競争率が低いことからGoogle広告の1/5程度の料金で同量のクリック数を得られることがあったり、他社広告の設定をインポートする機能などがある
- 配信ボリュームが少なく、思ったような露出ができないこともある
B to Bビジネスで訴求したいとき、すでにGoogle・Yahoo!広告などの他の広告をメインで使用しており補助的に配信したいとき、圧倒的な低コストで広告を配信したいときなどにおすすめ |
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