初心者でもわかる「ディスプレイ広告とは?」仕組みやメリットを解説
主要なWeb広告に挙げられることが多い「ディスプレイ広告」。Webサイトやアプリの広告枠に表示され、画像や動画でユーザーに強く印象付けられます。
「弊社の場合もディスプレイ広告で効果が出るのだろうか」「ただ、なんとなく費用が高そう……」など、初めて検討する際には分からないことが多いものです。そこでこの記事ではディスプレイ広告の概要から費用、メリット・デメリットを紹介します。
ディスプレイ広告がどんな訴求に向いているのか、この記事が理解の一助になれば幸いです。
ディスプレイ広告とは

出典:Yahoo! JAPAN
ディスプレイ広告はWebサイトやスマホアプリなどに表示される視覚的なインターネット広告です。例えばとある日にYahoo!のトップページに訪れた際には、ディスプレイ広告としてお米の広告が表示されました(上記画像赤枠内)。
ディスプレイ広告は商品・サービスを直感的に訴求できる画像やバナー、動画などの形式で表示されます。特にまだ自社のことを知らないユーザーにブランドや商品・サービスを認知させるフェーズにおいて、高い効果が期待できます。
ディスプレイ広告の種類
ディスプレイ広告を大別すると「運用型」と「純広告」に分けられ、一般的には前者の運用型を指すことが多いです。
- 運用型
他の主なWeb広告と同様に、広告主が入札をした上で、配信先のターゲティングや期間、広告クリエイティブを調整しながら運用する広告形式 - 純広告
広告主が事前に特定サイト・ページと契約して広告枠を買い切り、自社の広告を固定して表示させる形式
運用型は希望したページに確実に表示される保証はないものの、柔軟に対応できる強みがあります。以下、この記事では特に断りがない限り、運用型のディスプレイ広告について述べていきます。
ディスプレイ広告を配信できる媒体(GDN / YDN)
国内においてディスプレイ広告は主に「Google」と「Yahoo!」のネットワークを利用して配信します。
Google ディスプレイネットワーク(GDN) | Yahoo!広告ディスプレイ広告(運用型)※ | |
---|---|---|
配信先 | 数百万のサイト・アプリ /Googleサービス など | Yahoo!が運営するサイト・サービス / 提携パートナーのサイト など |
配信面例 | あらゆる企業・個人サイト (Google アドセンス) / YouTube / Gmail など | Yahoo!ニュース / All About /朝日新聞デジタル など |
※2021年6月までは「Yahoo! ディスプレイアドネットワーク(YDN)」の名称で提供されていました。
またYouTubeについては純広告形式で広告を表示させる方式もあります。
ディスプレイ広告と他の広告との違い
ディスプレイ広告と比較検討されやすいのが「リスティング広告」です。両者には以下のような違いがあります。
ディスプレイ広告 | リスティング広告 | |
---|---|---|
イメージ | ![]() 出典:Yahoo! JAPAN | ![]() |
表示位置 | サイト・サービス・アプリの広告枠 | 検索結果の上部、右側 |
形式 | 主に画像、動画、テキスト | 主にテキスト |
課金 | クリック課金 / インプレッション課金 | クリック課金 |
ターゲティング | 興味関心、属性、行動履歴など | 検索キーワード |
主な目的 | ブランド認知潜在ユーザーへの訴求 | 直接的な成果(購買、契約、問い合わせ促進など) |
訴求対象 | 潜在層(まだ興味がないユーザー)が中心 | 顕在層(すでに興味があるユーザー)が中心 |
リスティング広告とはGoogleなどのエンジンで検索したときに、検索結果ページの上位にテキストで表示される広告です。
リスティング広告はユーザーが検索したキーワードに連動して表示されることから、より成果に近い(購買、契約などにつながりやすい)広告として利用されます。
関連:初心者向け リスティング広告とは?今すぐ始めたくなるメリット・やり方を解説
また、ディスプレイ広告は「バナー広告」「DSP広告」とも比較されることがあります。
バナー広告はディスプレイ広告の一種で、現代では同じ意味で使われることが多いです(バナー広告はかつて「テキスト広告」の対の言葉として使われていました)。
DSP広告の「DSP」とはDemand Side Platform(広告主側のプラットフォーム)の略で、リアルタイムに広告枠の入札を行い、効率よく広告を配信する方法を指す言葉です。ディスプレイ広告とDSPは異なる概念で比較する対象ではありません。「DSPはディスプレイ広告を配信する1つの方法」という考え方がしっくりくるかもしれません。
ディスプレイ広告と相性が良い商材例
- 単価が低いもの
即決される可能性が高いため。例:コスメ、サプリなど - 検討期間が長いもの
何度も表示させることで単純接触効果が期待できるため。例:不動産、車など
一方で緊急を要するサービス(スマホの故障、トイレの水漏れなど、ユーザーのニーズが明確なサービス)の訴求には向いていません。
ディスプレイ広告の費用相場と課金方式
ディスプレイ広告は一般的に〜50万円を目処に出稿される企業が多いです。
ディスプレイ広告の主な課金形態には、広告表示だけでは費用が発生せず、ユーザーがクリックしたときに課金される「クリック課金(CPC:Cost Per Click)」と、広告が1,000回表示されるごとに課金される「インプレッション課金(CPM:Cost Per Mille)」の2種類があります。
クリック課金 (CPC:Cost Per Click) | インプレッション課金 (CPM:Cost Per Mille) | |
---|---|---|
課金基準 | クリック毎に課金 | 1,000回表示されるごとに課金 |
費用相場 | 100円〜/クリック程度 ※競合などの条件による | 数百円/1,000回表示 ※競合などの条件による |
強み | ・クリックされない限り費用が発生しない・ある程度関心があるユーザーがクリックする→費用対効果が高い | ・露出回数が保証される・クリック回数が費用に関与しない(たくさんクリックされても費用が増えない)→クリック率が高い広告ほど、費用を抑えられる |
相性の良い訴求 | ・直接的な成果を求める場合・ターゲットを絞りたい場合 | ・ブランド認知の向上を目指す場合・露出を優先したい場合 |
上記の費用相場は競合状況によって流動的です。
例えば商品の認知向上を目的とするマーケティング初期の段階ではインプレッション課金を選び、契約・購買といった具体的な成果を取りにいくタイミングでクリック課金に切り替える、といった方法も一案です。
またディスプレイ広告で使用するバナーなどクリエイティブの制作を外注する場合は、別途費用がかかります。
ディスプレイ広告のメリット
他のWeb広告と比べてディスプレイ広告のメリットと言える部分を確認していきましょう。
- ビジュアル訴求で印象付けられる(ブランディング)
- 潜在ユーザーへアプローチできる
- リターゲティングによりCVも見込める
- 広告費(クリック単価)が比較的安価
①ビジュアル訴求で印象付けられる(ブランディング)

ディスプレイ広告はビジュアルで直感的に訴求して、ユーザーに強い印象を与えられるのが最大のメリットです。テキストのみの広告よりも視覚で訴えることで、記憶に残りやすくなります。
「認知」の局面で効果的であることは説明してきたとおりです。画像や動画によって自社サービス・商品の世界観も伝えることができます。
②潜在ユーザーへアプローチできる
自身の悩みにまだ気づいていない、必要性を理解していない「潜在ユーザー」に対して広く訴求できることも大きなメリットです。
例えばリスティング広告はユーザーが検索した言葉に応じて、適切な広告を表示させます。この場合、ユーザーのニーズは明確であり(ユーザー自身も自覚しており)、そのニーズを満たせる可能性がある広告が表示されます。
一方でディスプレイ広告はまだ行動を起こしていない(=ニーズを自覚していない)けれど、年齢や性別、興味関心などから、将来、顧客になる可能性が高い層にアプローチできます。リスティング広告と比べて即効性は低いものの、じっくりと顧客を育てることを得意とします。
③リターゲティングによりCVも見込める

先にディスプレイ広告は即効性が低いとお伝えしましたが、直接的な成果を狙うこともできます。その1つがリターゲティング(リマーケティング)機能を使う手法です。
リターゲティングとは一度、自社のサイトに訪れたユーザーに対して、再度、広告を表示して、成約・購買を促す手法です。ユーザーはすでに商品やサービスに関心を持っているため、通常のディスプレイ広告よりも、高い成約率が期待できます。
ただしリターゲティングは「付きまとわれている」というネガティブな印象を与える可能性もあることは理解しておきたいところです。
関連:リターゲティング広告とは
④広告費(クリック単価)が比較的安価
リスティング広告などの他の広告と比べ、ディスプレイ広告のクリック単価は安価になりやすい傾向にあります。その理由は「広告枠の数」「成約率」の違いにあります。
ディスプレイ広告はGoogle、Yahoo!のネットワークを中心に、非常に多くの掲載枠があります。そのため他の広告よりも競争が少なく、クリック単価が下がりやすいです。
また先述のように、リスティング広告などよりも成約率が低いことから、入札競争がそこまで激しくないことも、単価が下がりやすい
要因であると言われます。
ディスプレイ広告のデメリット
ディスプレイ広告のデメリットには以下のようなことが挙げられます。
- 顕在ユーザーの獲得が苦手
- 広告費の消化が早い傾向にある
- 掲載場所を完全にコントロールするのが難しい
- 改善(効果測定)が難しい
①顕在ユーザーの獲得が苦手
先述のとおりディスプレイ広告は潜在ユーザーへのアプローチが得意な一方で、顕在的なニーズを持つユーザーへの訴求力は劣ります。
②広告費の消化が早い傾向にある
ディスプレイ広告は露出を最大化することを主な目的とするため、多くのユーザーの目に触れやすく、インプレッション回数が多くなります。インプレッション課金を採用している場合、思っていたよりも短期間で予算を消化してしまうことがあります。
またクリック課金の場合であっても、露出が多い分、クリック数は自ずと増えるため、広告費が急速に消化される可能性があります。
適切なターゲティングや、細やかな予算消化のモニタリングが求められます。
③掲載場所を完全にコントロールするのが難しい
ディスプレイ広告はWeb上に多くの広告枠があるため、広告主側が掲載する枠を完全に決め打ちすることは困難です。
掲載サイトにはニュースなどの硬派なものから個人のブログまで非常に多様で、自社のブランドイメージに合わないサイトに掲載されることもあります。
またサイトのジャンルや質によって広告のクリック率や転換率が変わるため、パフォーマンスに差が出たり、費用対効果が悪くなることもあります。
④改善(効果測定)が難しい
ディスプレイ広告の特性上、他の広告と比べて効果測定による改善が難しいと言われます。
ディスプレイ広告は即効性が高くないため直接的な成果につながりにくく、長期的な視点での測定が求められます。また画像、動画、テキスト、トーンやマナー……、クリエイティブには様々な要素が組み合わさるため、仮に成果が出たとしても何が効果的だったのかを特定することが容易ではありません。
ディスプレイ広告の出稿方法・やり方
ディスプレイ広告を掲載する流れは以下のとおりです。
- 広告アカウントの作成
Google広告、Yahoo!広告でアカウントを作成 - キャンペーン(基本設定)の作成
目的、予算、配信期間などの基本設定を実施 - ターゲティング設定
対象ユーザーの属性、興味関心などのターゲティングを設定 - クリエイティブの準備
画像、動画などの広告素材を作成し、アップロード - 入札・予算の設定
課金形態に応じクリック単価、インプレッション単価を設定。予算配分を実施 - 配信
審査を経て広告を配信
適切なターゲティング・入札単価の設定やクリエイティブの作成など、初心者は外部のサポートを受けた方が、最終的なコストを下げられることもあります。
ディスプレイ広告で成果を出すためのポイント
最後にディスプレイ広告で成果を出すために押さえておきたい考え方、ポイントをピックアップします。
インパクトのあるクリエイティブで印象付ける
ディスプレイ広告の成否は「見た目」でほとんど決まってしまいます。
- インパクトのある表現
- 一瞬で広告の内容がわかるもの
- ユーザーの目に留まりやすい要素を含める
- 広告枠のサイズを徹底的に検証する
これらを意識してクリエイティブを用意することが大切です。
リターゲティング広告から始める
リターゲティング機能を使った広告配信は、認知を目的としたディスプレイ広告よりも成果が出やすい傾向にあります。特に初心者の場合、ディスプレイ広告を掲載しても「実際に効果が出ているのかわからない」と感じることが多いです。
リターゲティングであれば最初からある程度の成果が出るため、広告費に対する納得感を得られやすいでしょう。ただし目先の成果に惑わされることなく、広告を出稿する本来の目的を見失ってはいけません。
関連:リターゲティング広告とは
効果の出る配信面に絞る
ディスプレイ広告では広告枠の完全な掌握は難しいものの、「プレースメントターゲティング」といった配信方法があります。
これにより広告を配信、配信を除外するサイトやアプリ、動画を予め指定し、制御できます。配信面を絞ることで配信の数自体が少なくなる、競合が多い配信面では単価が高くなる、といったデメリットもありますが、適切な配信面を選ぶことで、効率的に訴求できるようになります。
まとめ
Webサイトやスマホアプリなどに表示される視覚的なインターネット広告「ディスプレイ広告」の概要を解説しました。この記事の要点は以下のとおりです。
- 商品・サービスを直感的に訴求でき、自社のことをまだ知らないユーザーに認知を促すフェーズで効果的
- 他の広告よりもインパクトが大きい、潜在ユーザーへ広くアプローチできる、リターゲティング機能を使って成果も追求できる、などのメリットがある
- 直接的な成果を出すことは苦手、広告掲載する媒体の掌握が難しい、広告の効果的/改善ポイントがわかりづらい、といったデメリットもある
ディスプレイ広告は露出を最大化することを目的とした広告です。広告の特性を理解すること、また成約を上げることが得意な他の広告と組み合わせて使うことも有効です。
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